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PR:ミッション2・フォルシティ事件簿

ヒーローであることを否定しながら、ヒーローであることを俺はどこかで自覚していたのだろうか?
自覚と言うより……おごり、だな。
ロケット団をはじめ、これまでに悪党連中を倒してきた俺。
その功績もあって俺はレンジャーユニオンに呼ばれフィオレ地方にやって来た。
なのに……教授の護衛というミッションをしっかり果たすことが出来ず、
教授の持っていた開発中の「スーパースタイラー」を「ゴーゴー団」とか名乗る連中に奪われた。
教授は俺に責任はないと言ってくれたが……いや、やはりあの時もっと緊張感を持っていればこんな事には……
この失態を取り戻したい。自分がふがいなかったと自分を責める教授のためにも
だが……レンジャーとしては新人である俺に、その機会は与えられなかった。
他のレンジャー達がゴーゴー団の行方を捜す中で、
俺はそのレンジャー達が抜けた穴を埋めるべく、街のパトロールを命じられた。
元々組織に属するような立場がうっとうしいと思っていた俺にとって、これは屈辱的だ。
だが……従うしかない。反発したところで、事態がややこしくなるだけだからな。
さてと……目覚めの悪い朝になったが、やることはやるか、マイナン
「うん……」
……お前まで落ち込むな。なに、汚名返上の機会は絶対にある。今は耐えるしかない……
「うん……」
……そんなに沈んだ顔してると、犯すぞ?
「えっ!?」
何嬉しそうな顔してんだよ、お前は。
「あっ、アハハ……つい」
ったく……ま、しっかりパートナーやってくれりゃ犯してやるからさ
とりあえずパトロー……っと、なんだこれ、スタイラーに反応……って、メールか。
そういや通信機能も備わっていたっけ……まだ使い慣れてないからびびったぞ。
誰からだ……ハヤテ?
なんだろ……「ハヤテからタカマルへ。ジョウから話は聞いた。慣れない場所で大変だと思うが、フォルシティで困っている人達を助けてあげてくれ。よろしく頼むよ」……か。
そうか……変な気を使わせてしまっているなぁハヤテに。
まあ仕方ないか……うん、何時までも腐ってられないしな
とりあえず、パトロールするか
まだこのフォルシティには慣れてないから何処に何があるのか把握できてないが
それはまあパトロールしながら確認するしかないな
さてまずはどこから……ん、こっちに向かって走ってくる人がいるな……
「女の人だね」
だなぁ……こっちに、つまりレンジャーベースに来るってことは、なんかあったかな?
「レンジャーさん、お願い。マンションまで来てくれない? 手違いがあってちょっと困ってるの。待ってるわ!」
……って、おいおい、言うだけ言ってまた戻っていくぞ……緊急事態なのか?
まあともかく行ってみるか……ん、立ち止まった。ここは……マンション、かな?
「中々素敵な建物でしょ? 私の部屋はこっちよ」
まあ素敵と言えば素敵だが……言葉からして、そう緊急性はないようだな。
ともかく追いかけるか……ってほどでもないか。入り口近くの部屋で又立ち止まった。
「レンジャーさん! ほらこれ見てみて。この邪魔な木箱、どこかの引っ越し屋さんが忘れていったらしいのよ! お願い何とかして! このままじゃ部屋には入れないの」
女性が言う通り、部屋の入り口には大きな木箱が……なんつーか、置き忘れるようなサイズじゃねーぞこれ
何とかするのは良いけど……ここの管理人さんには話した?
「ええ。引っ越し屋さんとも連絡を取ってくれて、この荷物を取りに来るらしいんだけど、ちょっと時間が掛かるみたいで……その間私部屋には入れないから困っちゃうのよ」
なるほど、ならとりあえずどけるだけで良いんだな。
とはいえ、こりゃ人の手でどかせそうにはないな。
「そうなの。自分でどかそうとしたけど重すぎて無理だったの。困っちゃったなぁ」
となれば、力持ちのポケモンを連れてくるのが一番か
近くにいれば良いんだけど……お嬢さん、申し訳ないが近くに力の強そうなポケモンはいませんかね?
自分はこの街に配属されたばかりでまだ街のことを知らないもので……
「そうなの。私も引っ越してきたばかりだから……ああでも、力持ちのポケモンならマクノシタを見かけたわよ」
そうですか、ありがとうございます……では少々お待ちを。
「ええ、お願いねレンジャーさん」
さて……まず外に出てマクノシタを探さないと。
「ご主人様、ほら、そこにいたよ!」
お、ホントだ。意外と近くにいたな……よし、キャプチャするぞマイナン
「はーい!」
とは言っても、マイナンの手を借りるまでもないか……よし、キャプチャ完了っと。
早速マンションに戻って……マクノシタ、あの木箱をどけてくれ!
力強い張り手で、木箱をアッサリとどけるマクノシタ。
小柄だが、やはりポケモンなんだな……力強い。ありがとうマクノシタ。
「嬉しい、ありがと! やっと部屋には入れるわ。お茶でも飲んでかない?」
いえ、まだ任務中なので……と言いたいところですが、綺麗な方のお誘いは任務より優先されますから、是非。
「……うわー、出たよ。ご主人様の二枚舌……」
マイナンの嫌味なんか聞こえない。早速お邪魔させて貰おう……っと、なんだ!?
「キャー! なによこれ!? レンジャーさん捕まえて!!」
なんで部屋の中にコンパンが!?
お嬢さんの反応からして、彼女のポケモンではないようだな。
「早く早く! あのポケモン何とかしてよ!」
飛び跳ねるコンパンにすっかり怯えているな。とにかくコンパンをキャプチャして落ち着かせるか……
すばしっこいが、キャプチャは問題なく完了っと。
「……悪いけど、そのポケモン私かなり苦手なのね。だから早く逃がしちゃって!」
ん、まあ虫タイプのポケモンを嫌う女性は多いからな……ほら、元いた場所にお帰り、コンパン。
「引っ越し早々こんな目に合うなんて……でも私挫けない! 前向きに生きていくのよ!」
まあ都会とは言え野生のポケモンと共に暮らすフィオレ地方ではこーいうこともままあるんだろうけど
「そっ、そうなのかな……でもこれで憧れの都会暮らしが送れるわ。レンジャーさんありがと!」
どういたしまして……ああ、お茶に誘って頂いてましたが、それどころじゃないようですね
「……そうね。ごめんなさい、何もお構いできませんで……」
いえいえ、気にすることはないですよ
……コンパンに部屋の中散らかされちゃ、ゆっくりお茶も出来ないよな
片付けを手伝ってあげたいところだが、まあ女性の一人暮らし……男に見られたくない物も色々あるだろうし
ここは大人しく引き下がろう。行くぞマイナン
「はーい……残念でしたねぇ、ご主人様ぁ」
にゃろ、嫌な言い方しやがってコイツは……
さて折角マンションの中に入ったんだ、ちょっと中をついでに見て回るか。
ぐるっと、マンションの各部屋を尋ねながら軽く見回ったが
他にコンパンがいるとかそのようなトラブルはもう無いようだ。
あのコンパンは何だったんだ? 部屋の前に置かれていた荷物と関係があるんだろうか?
引っ越しの手違いにしては又……まあ俺が気にすることでもないか。
むしろ気にすべきは……住人の、ちょっとした苦情というか疑問だ。
なんでも、最近水道水が臭うらしい。
この街の地下水道はポケモンが住めるくらい綺麗で、もちろん水も綺麗なのが自慢だった。
にも関わらず臭いがすると言うのはおかしい……ということ。
俺はこの街を知らないからなんともいえないが
住人が気になる臭い……か。まあ後で報告だけはしておくか。

さてマンションを出て他の場所……ん、なんだあのおばさん
「キョロキョロしてなんか怪しいね……あ、こっちに来た」
俺の姿を見て寄ってくるってことは、レンジャーに用事かな?
「ちょっと、あんた、ちょっと! そこのレンジャーさんってば! あたしの可愛い可愛いエネコちゃん達がいなくなっちゃったのよ! お願いだからすぐに連れ戻して欲しいのよ! エネコちゃん知ってるでしょ? ちょちょいのちょいで解決よね? なんたって、レンジャーなんだもの!」
一気にまくし立てられるおばさんに圧倒されてしまう……
むろんエネコは知ってるけど、ちょちょいのちょいと言われてもなぁ
……なんかこのパターンどっかであったような気がするんだけど……
「あれ、あのエネコのことかな」
マイナンが指摘したのは、こちらへ近づいてきたエネコ
「あらエネコちゃん! なーんて可愛いのかしら! そうそうこのポケモンよ! この子と同じポケモンよ! ボヤボヤしてないで早くエネコちゃんを連れてきて!」
ん、どうやらそのエネコの他にもいるのか……ええまあ、探してきますけれども……
「あんた、任せたわよ。エネコちゃんをお願いね! もしエネコちゃんが何処にいるか判らなくなったらあたしに聞きに来て。それじゃあたしはレンジャーベースの近くで待ってるから頼んだわよ!」
……いっちゃったよ。その前にさ……いなくなったエネコって残り一人で良いんだろうな?
「あの様子だと他にもいそうだよね」
マイナンもそう思うか? 俺もそう思う……困ったな、とりあえず探す前に確認しに行くか?
「ねえレンジャーさん、あのおばさんにエネコ探し頼まれたんでしょう?」
ん? ええそうなんですよ……失礼ですがお嬢さん、心当たりでも?
「心当たりも何も、おばさんのエネコ、逃げる場所いっつも同じなの。自分で連れ戻しに行けばいいのにって思っちゃう」
そうなんですか……ではもしかして、場所も何人いるかもご存じで?
「ええ。教えてあげても良いけど……お願い聞いてくれる?」
……なんでしょう?
「あのね、私リーダーレンジャーのジョウ様のファンなの! いつもここを通るジョウ様を待ち伏せしてるんだけど……」
……出待ちかよ。まあストーカーになってないだけ……いや半ばストーカーか……まあいい、この際どうでもいい。
「ジョウ様に恋人いるの? それだけ教えてくれないかな……」
……えーっと、すみません。私はコスチュームを見ていただければ判る通り、別の町のレンジャーでして……
「あらホントだ。なら仕方ないわね……いいわ、だったら尚更エネコ探し大変よね。場所教えてあげる」
助かります……うん、基本的に悪い人では無いようだけどなこのお嬢さんも。まあ恋はなんとやらって……ね。
それにしてもあのエネコおばさんはなんだかな。このお嬢さんにエネコが逃げた場所まで知られてるくらい有名なのかって思うと……、
「なんか、リングタウンにいたセキネさんだっけ? あのおじさんに似てる気がする」
あー、それだマイナン。
なんかどっかでと思ったが……ああいう過保護な癖にそれが仇でポケモンに逃げられちゃうような人ってどの街にもいるんだな。
出待ちのお嬢さんにエネコの場所を聞き、早速捜査開始。
普通に噴水の近くにいたり、マンションの屋上にいたり、ゴミ箱の中に隠れていたり
中には民家に置かれたポケモンのぬいぐるみに紛れていたり……気付いてくれ、住人さん。
全部で6人。うち5人を見つけおばさんに引き渡しつつ……さて最後の一人だ。
出待ちのお嬢さんの話だと、この先なんだが……柵が立ててあるな。
これ、勝手に取り払ったら不味いよな……ちょっと近くの人に聞いてみよう。
すみません、この柵はなんでしょうか?
「柵? あれ、こんな柵有ったかな……覚えがないね」
覚えがない? この先はどこなんでしょうか?
「ちょっとしたベンチのある広間だよ。だからこんな柵を立てるようなことはないと思うんだけど……」
……なんだろう、誰が立てたんだ?
「それ壊しちまっていいと思うよ。なんか事件だろ? レンジャーさん。なんなら俺が話しつけてやるからさ」
ありがとうございます、すみませんが撤去させていただきますね……とりあえずキャプチャしておいたニャースに頼むか
さて柵を取り払って先に行くと……ん? なんか人がいるな。
「ゴーリキーもいるね」
だな……白衣を着ているところを見ると研究者か?
「なんかゴーリキー変だね」
……苦しそうだな。鳴き声が明らかに変だ。
「チッ! うるさいぞゴーリキー! まったく、役に立たないポケモンだな!」
おいおい、その辺にしてやれ。事情は知らないが、ゴーリキーが可哀想だろ
「あぁ? おいお前! そこで何してる! 関係ない奴はここから出ていけ! ゴーリキーが可哀想だと? 俺達のポケモンをどうしようとお前には関係ないだろうが!」
関係ない……か。だがそう言えるような状況には見えないんだがな
「関係ない奴は出ていけって言っただろ! 目障りなんだよ!」
この……
「ご主人様……」
……判ってる。ここで変に事を荒立てるわけにはいかないな。
ゴーリキーには悪いが……お、いた。こっちはこっちの仕事をさせて貰うだけだ、目障りでもこっちのジャマはするなよ
さぁて、エネコちゃん……大人しくキャプチャされてくれなぁ……
「……なんか怯えてるね、エネコ」
……事情を聞きたいが、そんな雰囲気じゃないな。
ともかくおばさんの所へ連れて行こう

「何処行ってたんでちゅかー、あたしのエネコちゃーん! ちゃみちかったわよー!」
なんつー声出しやがる……こう、赤ちゃん言葉ってどうにも……まあいいけどさ。
さてこれで一通り揃ったかな?
「1、2、3、4、5、6匹! あたしのエネコちゃん達全員揃ったのね! あんたたいしたものねえ! おばさん感心しちゃったわよ。ありがとねえほんとに!」
いえ、これも仕事ですから……まあ本音が言えるなら、逃げられないためにもその過保護な態度を何とかしろと言いたいところだけどさ……
「大事な大事なエネコちゃん達、もうおいたしちゃダメでちゅよ! さあさあ帰りましょうね ハイ、整れーつ!」
おお、かけ声と共にエネコが整列しておばさんに引き連れられていく……躾はされてるようだな
でも逃げるんだろうなぁまた……その時に俺はここの任務を解かれていることを願いたい。
それにしても……あのゴーリキーやはり気になるな
「そうだね……もう一度様子見に行く?」
それがいいかもな……って訳にもいかなそうだな
「誰か来るね。「また」女の人だ」
引っかかる言い方をするなマイナン……ふむ、いかにもキャリアウーマンって感じの女性だな。
「タカマルさん、ですよね? 私、シンバラ教授の助手を務めております」
ええ、タカマルです……なるほど、研究所の方ですか。道理で知的な美しさを携えてらっしゃると思いましたよ。
「えっ!? あ、あの、はい、ありがとうございます……」
「まぁた始まったよ……」
これも仕事を潤滑にこなす「テクニック」だよ……それで研究所の方が私にどのようなご用件で?
「あ、はい。あのお忙しいとは思いますが、お願いがあります。よろしければ研究所まで来ては貰えませんか。研究所はこちらになります」
そう言いながら研究所まで案内しようとする助手の女性。まあ断るつもりはなかったからそのまま素直に付いていくことに。
案内された研究所はレンジャーベースの裏側にあった。案内されるまま、俺は中へと入っていく。
「タカマルさん、私のお願いを聞いてください。この地下室に捜し物があるのですが、暗くて見つからないのです。教授に相談したら、タカマルさんを頼りなさいって……お願いです! 真っ暗な地下室を明るくして貰えませんか?」
研究所を明るくする……停電か何かですか?
「ええ……今非常用電力で他の階の発電をまかなっておりますが、地下の方にまで電力がまわらなくて……」
なるほど……判りました、引き受けましょう。
「ああ良かった、ありがとうございます! そういえば教授から伝言がありました。教授が話していた通りに言いますね。「灯台の地下室にヒトデマンというポケモンが住んでおる。ヒトデマンの力を借りて暗い場所を明るくして貰うのじゃ!」……というわけで、そのヒトデマンをキャプチャしてここに連れてきてください。よろしくお願いします!」
ヒトデマンなのか……マイナンにやらせるのかと思ってたら違うのか。
「私だと電気を出すことは出来るけど、部屋を明るくするだけの電力は出せないよ?」
ああそうか……なるほど、ヒトデマンのエスパー技に頼るのか。フラッシュだな。
それなら確かに暗い部屋を明るくすることが出来るか。灯台ですね? ヒトデマンがいるのは。
「はい、よろしくお願いします」
灯台か……まあ港まで行けばすぐ判るだろうな。よし行くぞマイナン
「はーい」

さて、さくっとヒトデマンをキャプチャして連れてきた。
早速フラッシュを頼むヒトデマン……
「眩しいくらいだわ! これならすぐに探せます。タカマルさん、お願いを聞いて頂きありがとうございます!」
これでしばらくは大丈夫でしょう。
ヒトデマンはリリースされましたが、元に戻る前に停電も直ってるでしょうし。
「そうですね、ありがとうございます……ええっと、資料資料……」
早速慌ただしく資料を探し始めたが……教授が入り用なのかな。だとしたら……いや、今はあまり気にしないようにしよう。
「ええと、ここじゃないし、こっちでもないし……明るくなったらなったで、大量の資料に私圧倒されてます。これはポケモンの足跡の資料だし、こっちはポケモンの鳴き声の記録だし……明るくなっても必要な物が中々見つかりませんね」
……手伝いましょうか?
「いえ、タカマルさんの手をこれ以上患わせたら私が教授に怒られてしまいますから……ええっとこれも違いますね……もしかして、ここじゃないのかしら?」
おいおい……まあ仕方ないな。俺達は出るとしよう。
「だね……それにしてもご主人様。なんか色々大変だねレンジャーも」
そうだな……これは確かに、誰か一人くらいは街に常任させたいってのは判るな
まあちょっと、レンジャーに頼りすぎてるって気もするが……
「それは言えてる」
まあ地域性と言えばソレまでだが……っと、研究所を出たところで他のレンジャーと出くわした。
確か彼女は……アリアとか言ったか。
「あれ? なんであなたがここに?」
ん、まあ……パトロール。
「ふーん。人が出払ってるからフォルシティのミッションを頼まれたって訳なの。なるほどね、今はゴーゴー団のせいで緊急事態だもんね。あなたみたいな新人さんにゴーゴー団を探すミッションは流石にまだ早いし……あら? 失礼なこと言っちゃった? 気にしないでねタカマル」
……悪気があるのか無いのかはさておき、かんに障る言い方だなぁおい……
まあいい、アンタはゴーゴー団の捜索だろ? ちょっとは進て……ん?
「まって! 今時計台の方で何か聞こえなかった?」
ああ……ゴーリキーだなあの鳴き声。まさか……
「あなたもぼやぼやしてないで付いてきて!」
ちっ、言われなくても……俺達は鳴き声のした方へと駆けだした。
たどり着いたのは、街のシンボルでもある時計台。そこでは……
「なんでゴーリキーが暴れているの?」
時計台を殴りつけているゴーリキーの姿。アイツは……間違いない、エネコを探している時に見かけたゴーリキーだ。
なら近くにあの研究員らしき男も……
「ちょっと! ゴーリキーをキャプチャしてきて! あなたの腕前、どれくらいか見てあげるから」
自分でやらんのか……新人に経験を積ませたいのか威張りたいだけなのか……
「どっちもじゃない?」
同感だ……悪気はなさそうだがプライドも高そうだからなぁ
「早くキャプチャしないと、時計台が壊されちゃうわ!」
判ってる……くっ、暴れてるだけにキャプチャが難しいな。マイナン、ポケアシスト頼む!
「了解、いっくよぉ!」
マイナンの放電で、ゴーリキーの動きが止まる。このチャンスを逃さず……くっ、流石に囲む回数を重ねないとダメか……よし、キャプチャ完了!
「やったー! レンジャーありがとう。すっごく格好良かったよ!」
「凄い凄い! キャプチャを初めて見たぞ! あんなに暴れていたゴーリキーがすっかり大人しくなってしまって、いやぁ良いもの見せて貰った」
「おおレンジャーでかしたぞ! この街のシンボルが危うくなくなるとこじゃったよ」
心配そうに見ていた街の人達に感謝される……ん、まあ悪い気はしないな。
「まあまあのキャプチャだったわね」
それに水を差してくれたのは、先輩風吹かせたいアリア……そりゃ先輩ならもっと華麗に手早くできたんでしょうねぇ
「当然でしょ?」
……そーですねー……っと。まあ仕方ないか。こーいう性格なんだろうさ
「それにしてもどうしてゴーリキーが暴れていたのか判らない……住み慣れた場所に戻れば落ち着くはずだから、ゴーリキーをリリースしてあげて」
了解……じゃあなゴーリキー
ん……リリースされたゴーリキーの安心しきった顔……リリースする前にやはりさっきのことを聞くべきだったかな
「でも助けられて良かったね」
そうだな……やはり気になるな。
「タカマル、とにかく一度レンジャーベースに戻ったら? 私はあなたと違ってゴーゴー団の調査があるからここで失礼するわ」
言うことがいちいち……言い返す間もなく行っちまったか。
ま……確かに一度戻るべきだな。
ゴーリキーのこと、一度ジョウに報告しておこう。俺達が又見に行くか誰か行くのか、判断して貰うか
……正直、直ぐさま単身で行きたい所なんだがな。
組織ってのはどーにもかたっくるしくて……やはり俺には向いてないな。

レンジャーベースに戻った俺を、来るのを判っていたかのようにジョウが待っていた。
アリアが連絡を入れたのか? まあ……なんだかんだ言ってもそのあたりは先輩としてやることやってるって事か
良いように解釈するならね
「お帰りなさい。フォルシティの人達がとても喜んでいましたよ。君はレンジャーの役目をとても良く理解して頑張ってくれましたね。今からタカマルのレンジャークラスを「3」に認定しましょう!!」
ん? もうレンジャークラス3に?
ちょっと街の厄介事片付けただけで?
「……ゴーリキーの話はアリアから連絡を受けました。それだけでもクラスアップの理由になりますよ」
ああそのゴーリキーなんだがな……俺が報告を仕様とした矢先だった。
入り口の扉が開き、整備服を着た男が駆け込んできた。
「リーダー! 地下水道が大変なんだ! 綺麗なはずの水路にヘドロが溢れているから、おかしいなと思って良く見てみたら、ベトベターがいっぱいだ! 頼むよリーダー! 何とかして貰えないかな。めちゃくちゃ臭うしよー!」
地下水道にベトベター?
そういや水が臭うとかって苦情が……もしかしてベトベターが原因か?
「水道局の整備員さん、ご安心ください。すぐに地下水道にレンジャーを派遣しましょう」
「流石はリーダー、話が早い! 地下水道には今までベトベターなんていなかったんだよ! 原因は判らないけど、レンジャーなら何とかしてくれそうだ。外で待ってるから頼んだよリーダー!」
整備員は慌てて外に飛び出した……こりゃまた厄介事が続くな。
「そのようですね。今このフォルシティはゴーゴー団の調査でレンジャーが足りないんです。今動けるのはタカマル……君だけしかいない。はいもいいえもなく、引き受けて頂くしかないということです。判っていると思いますが、それがレンジャーの使命ですからね」
まあそうなるな……やれやれ、一息つく暇もないな。
「ではミッションを伝えます。この街の地下水道で大量発生したベトベターをキャプチャすること。キャプチャしたベトベターを回収専門のレンジャーに受け渡すこと。今この街の人にとってはタカマルだけが頼りなんです」
ミッション、請け負った……さぁて、次は清掃作業か。行くぞマイナン。
「はーい……もう、そろそろご褒美でも貰おうと思ってたのになぁ」
昼間っから盛るなマイナン……やることやって、それからやってやる
「やるやる! よぉし、とっととやって、そしてやろう!」
……なんつー会話だ。ま……とにかく現場に急がないと。
やれやれ、まだまだ今日は終わりそうにないな……

PR:ミッション1・教授を護衛せよ!

俺達が泊まっているのは、リングタウンのレンジャーベース。
当然ここに勤めている他のレンジャー達も全員ではないが寝泊まりしているわけで
こんなところで大きな音は立てられない。
だが、それでも俺のそそり起つキャプチャスタイラーはそろそろ収まりが効かなくなっているし
なにより、トラブルばかり起こすマイナンをちょっとばかり「お仕置き」してやらないといかん。
まあそんなわけで、「音を出さない調教」を試みる。
まず声を立てないように猿ぐつわを嵌めるのは当然として、
SMの基本ともいうべき拘束系……縄で縛るってのもやらないとな。
逆に音を立ててしまう物……スパンキングや鞭打ちといった打撃系はNG
三角木馬なんてのは当然無理だが、幸いなことに低温蝋燭は用意できた。
……こんな物をとりあえずフィオレ地方に持ってきていた俺はやはりどうかしているな
ついでにシッカリとバイブの類も揃ってるし……俺は何しにここへ来たんだ?
まあいいか……とりあえず拘束して蝋燭垂らしてバイブ入れて……
そういや、マイナンへの調教でこっちの系統は余りしてこなかったな
まあこれはこれで良い機会……下手に目覚めすぎると、今度は「お仕置き」にならなくなるから困るんだが……

「おはよータカマル。夕べは眠れた?」
おはようヒナタ。まあぼちぼち……かな
「眠れたんだ。私なんかレンジャーになったばかりの頃は興奮して眠れなかったんだけどなぁ……」
……まあ、別の意味で興奮してたけどね昨夜は
「マイナンもおはよー……なんだか昨日よりもタカマルにべったり甘えてるね」
「えへへ、そうかなぁ?」
……いやぁ、調教しすぎてMにも目覚めたからなぁコイツ。ホント、お仕置きにならなかった……自分の技術力がちょっと憎い。
「元々タカマルのポケモンだったんだもんね。この子もそうだったんだって?」
え? いや別に俺のポケモンということではなくて……
「あっ、ごめん。喋っちゃいけないんだっけ……昨日ね、リーダーから話は聞いたの」
ハヤテから?……たぶんプラスルのこともあるからある程度ヒナタにも話したんだと思うんだけど……何処まで話したんだろう?
「タカマルって、カントー地方って言うところから来たんだって? あっちではトレーナーだったって聞いたよ」
ああうん、実はそうなんだ……
「トレーナーってよく知らないけど、タカマルはレンジャーになる為に自分のポケモンをみんな置いてきたんだって?」
まあそうなんだけど……コイツらがね……
「黙って付いて来ちゃったんだって? だから最初からタカマルに甘えてたんだよね。へえ、トレーナーもポケモンと心を通わせあえるんだ。凄いなぁ」
まあそんなトレーナーばかりじゃないけど……とりあえず、俺がトレーナーだったことは秘密にしといてくれ
「なんで秘密にしないといけないのかよく判らないんだけど……まあいいわ。リーダーからも言われてるし」
助かるよ……ハヤテは俺がトレーナーだったって所まで話したようだな。
まあ「普通の」トレーナーだったら別に秘密にする必要ないはずだよな確かに
「ところで、この子……プラスルは本当に私のパートナーにしちゃって良いの? 元々はタカマルの子でしょ?」
まあそうなんだが……ヒナタが良ければパートナーにしてやって。
プラスルもヒナタが気にいればそのまま「ずっと」パートナーとしてここにいていいからな?
「うう、なんか棘がある言い方……」
そんなことはないぞ? なんせぜんぶお前らが「勝手に」したことだからなぁ
「あう……」
「あはは、怒られちゃったねプラスル」
ま……もう怒ってないが、言ってることは半ば本気だ。
プラスル、お前がレンジャーのパートナーという道を選ぶ事になるなら俺は反対しない。
ヒナタも、あまり俺のポケモンだったとか気にしないで、プラスルを可愛がってやってくれ
もちろんパートナーになれなかったらソレはソレで……ハヤテも言う通り「お試し」くらいの気持ちでいればいいんじゃないかな
「ありがとうタカマル。プラスル、タカマルもこう言ってくれてるし、これからもよろしくね」
「うん!」
「……ホント、プラスルって美人に弱いよね」
はは、妬むなマイナン……相方を取られて悔しいか?
「別に? 私にはご主人様がいるからいいもーん!」
ったく、強がって……まあ後はプラスルやヒナタが決めることだからな。
「……お、二人とも早いな。おはよう」
「リーダー、おはようございます」
おはようハヤテ。
「うん……さて早速だが、二人とも朝のパトロールに行ってきてくれないか」
「了解。それじゃ行こうかタカマル」
あいよ……さて、昨日はトラブル続きだったが今日は平穏無事に過ごせるかな

軽くパトロールを終えレンジャーベースに戻ってきた俺達。
ハヤテも交え軽く立ち話なんかをしていた所へ……来客が訪れた。
「参った参った! ライラの森でまたしても迷ってしまった! おっとそんなことより久しぶりじゃのハヤテ。元気じゃったか?」
白衣に小豆色のシルクハットという、一風変わった出で立ちの老人。
入ってくるなりハヤテに歩み寄って気さくに挨拶をしていることろを見ると、レンジャーの関係者だろうか?
「……ん? そこのみなれぬ若いのがこの間話していた新人のレンジャーか?」
そして俺を見つけるなり話しかけてきたが……さてどう対処して良いものやら。
「お久しぶりですシンバラ教授。お察しの通り彼が期待の新人タカマルです」
この人がシンバラ教授か……事前に話は聞いている。
レンジャー達を束ねる組織、レンジャーユニオンの技術最高顧問。
ハヤテが会わせたがっていた人物でもあり、ハヤテ以外で俺の「正体」を知るもう一人の人物でもある。
「おおタカマル君。わしはシンバラじゃよろしく頼む。気軽に教授と呼んでくれてかまわんぞ」
こちらこそよろしく、教授。
「それはそうと教授。この前お預かりした新しいスタイラー……確かスーパー・スタイラーといいましたね。あれは実に素晴らしい! だからこそ万が一悪い奴の手に渡ったりしたら心配で……」
スーパー・スタイラー? ハヤテが突然興奮気味に話し始めたが……なんだろう。名前からして新しいスタイラーなんだろうけど。
「入らぬ心配をするな。スーパー・スタイラーの存在を知っているのは、それぞれのレンジャーベースのリーダーレンジャーだけじゃ! おっと、声が大きすぎたな。それにあれはまだまだ試作品にすぎんのじゃ」
……うん、不用心すぎるな二人とも。とりあえずこれで、その存在を知ったのが二人増えたぞ。
「……ところでハヤテよ。ここだけの話じゃが、スーパースタイラーをパワーアップするアイデアが閃いてな。いても立ってもいられなくなってはるばるフォルシティから歩いてきたという訳じゃ。その素晴らしいアイデアとは要するに……」
要するに? 興味津々と、俺とヒナタが耳をそばだてていると……
「ああえーと教授、ちょっとお待ち下さい……あっそうだタカマル、ヒナタ。悪いけどちょっと2階へ行ってオニドリルの様子を見てきてくれないか? 今すぐだ」
聞かれたくないのねやっぱり……まあ大人しく従おうか。行こうヒナタ。
「ええ。では行ってきます」
とりあえず2階へ行って……まあ口実であるオニドリルの様子を見に行くか。
2階には他のレンジャーやハヤテのパートナーであるオニドリル
他には「カイリューバス」と呼ばれている、レンジャーベース間を行き来するカイリューが待機していた。
カイリューバスは便利な反面上級クラスに達したレンジャーしか活用できない。
これはカイリューが認めるほどの者でなければカイリューが搭乗を嫌がるかららしい。
つまり以前ハヤテが無理矢理俺やプラマイ達をオニドリルに捕まえさせて空を飛んだような
ああいう無茶をカイリューはしてくれないらしい。
……あの時のオニドリルはかなりきつかったようだったからなぁ
実際、昨日の疲労がまだ抜け切れていないようだった……いや、悪かったなオニドリル
「でもリーダーのオニドリルは中々タフだから、すぐに元気になると思う……だけど今すぐは無理みたいね。教授をリーダーのオニドリルが送っていくのはちょっと難しいかな」
ああ、そういう意味もあったのかハヤテの指示は……さて一応名目上の目的は果たしたが、戻っても良いのだろうか?
まあすぐに戻ってくるのはアッチも想定済みだろうし、かまわんか。
俺達はとりあえず1階に戻っていった。
「オニドリルの様子はどうだった?」
ハヤテの問いかけに、ヒナタが答えてくれた。
「……ふむふむ……なるほど、そうか。いや、ありがとう」
そもそも人払いが目的だったから、ハヤテもさして報告を受けてどうという様子は見せない。
というか、ヒナタの報告をあらかじめ織り込み済みだったようで……
「そうそう、タカマルのミッションが決まったぞ! これからシンバラ教授はフォルシティまで歩いてお帰りになるそうだ。タカマルは教授を護衛して、フォルシティまで無事に送り届けてくれ。これをきみの初めての正式なミッションとする!」
もう帰るのか……来て早々なのに。まあ目的は俺達がいない間に済ませたんだろうけど。
さてオニドリルを使えないのを見越して用意されたミッション。
俺も教授とは話がしたかったし、これまた都合の良いミッションになりそうだな。
「ライラの森を進み、クロッカトンネルを目指せ。トンネルを抜ければフォルシティはすぐそこだ!」
ライラの森ってのは、昨日スバメをキャプチャしたあの森か。
オニドリルで飛んできた時にも感じたが、リングタウンとフォルシティはそう離れていないようだな。
まあ教授のような老人でも歩いて往復できるんだからな
「よろしく頼むぞ、タカマル君!」
任せて下さい……それじゃハヤテ、ヒナタ。行ってくる
「ん、頑張ってくれタカマル君」
「行ってらっしゃーい」
二人に見送られ、俺達はまず森を目指す。
とりあえず相手は老人だし、その護衛だし、色々速度とか気を使いつつ歩いていたんだが……
「儂を老人だと思わないでくれ。気遣いは無用じゃ。どんどん、歩いて行こう!」
元気な爺さんだな。杖こそ突いているが、確かに気遣いは無用みたいだ。
さて森に入って……人気もないし、話を切り出せるな
まあ改めて言う事じゃないけど……教授、ハヤテからはなんて言われてるんです?
「ん? まあたいした話じゃない……君も聞いていたと思うが、今スーパー・スタイラーというものを開発中でな。その事で君の意見も色々と聞きたいと思っておった」
俺の意見を?
「うむ。レンジャーではなくトレーナーの、それもトップレベルのトレーナーの意見なぞそう聞く機会はないからのぉ。折角だし、色々と聞きたいことはあるんじゃが……まあ焦ることはない。またゆっくり聞かせてくれ」
……そのスーパー・スタイラーってのがまだ完成していないから?
「あまり詮索せんでくれ。先ほどはうっかり口を滑らせてしまったが、一応まだ極秘事項なんでな」
ん……まあいいけど。
こっちもまだレンジャーってのを始めたばっかりだから、意見らしい意見も言えないだろうし
「おおそうじゃ、そんな新米の君を儂が鍛えてやろうではないか」
教授が?
「これでもキャプチャスタイラーの開発者じゃぞ? 君達レンジャーのように上手く操作はできないが、基礎知識は君達よりも豊富だと思うがな」
そりゃ仰る通りですね……ではご指導お願いしますよ
「うむ。まずは「ポケアシスト」からじゃ……」
俺は教授の指導を受けながら洞窟へ向かっていく。
ポケアシストという、キャプチャしたポケモンの能力をスタイラーに上乗せするような機能を色々教わったり
道をふさいでしまっているわらの束や倒木をキャプチャしたアチャモやワカシャモの力を借りて焼き払ったりしていく。
なるほど……使いこなせればキャプチャする際にも、キャプチャしてから力を借りる時にも色々と便利な機能もあるのは判った。
ただやはり、何かある旅にキャプチャして、そして一度力を借りたらリリースされるというのは……不便だと感じてしまう。
自然とそこに住まうポケモンを大事にする、という理念は理解できる。良い事だと俺も思う。
だが色々と活動する際に、力を借りたいポケモンがすぐキャプチャできるかってのは大きな問題だよな
まあ教授に言わせると、その為にレンジャーは自分達が活動する現場にどんなポケモンがいるのかを理解する必要があり
その為に、各地にレンジャーベースを設置してレンジャーを地域ごとに常駐させている……ってことらしい。
なるほどねぇ……それもまた一長一短あると思うが
何を優先させるのか、バランスをどう取るのか、ってことはレンジャーユニオンだってやって来たことだろう。
とりあえず現状がその答えで、更により良くする為に「外」の意見が欲しい……つまり、俺の出番か。
なんつーか……そーいう大役を任せられるような人間じゃないと思うんだがねぇ俺は。
っと、なんやかんややってたら洞窟にたどり着いたな。
「ここまで来ればあと一息じゃ。なんだか楽すぎるミッションだったかもしれんな。さあ急ごう!」
まあ新人に任せるようなミッションだから当然だろう
洞窟の中は思っていたよりも広々としている。入り口にはダグトリオの銅像が……なんでまたダグトリオ?
「そこに解説が書いてあるぞ。読んでみると良い」
なになに……「トンネル開通の為に人間と苦労を共にしたダグトリオをここに湛える」か。
なに、この広いトンネルをダグトリオがやったのか!? 凄いな。
「昔はこの辺でもダグトリオをよく見かけるほどおったからな。だが人通りが増えたせいか、最近はトンネルの奥に引っ越したみたいじゃ」
へぇ……まあなんにしてもよくやるわ
感心しつつ、洞窟の中を進む俺達……ふと、行く先で話題にしていたダグトリオが顔を出している。
「おお、珍しい! ダグトリオじゃないか!」
よほど珍しいのだろう。教授が一人で駆け寄っていく……が、それに驚いたのかダグトリオは顔を引っ込め逃げてしまった。
「ダグトリオの奴、儂を見て逃げおった! なんて失礼なダグトリオじゃ……」
はは、まあ失礼というか驚いたんでしょう教授。
なんか子供っぽい教授の様子に笑っていた……のが、俺の油断。護衛という任務を忘れていた瞬間だった。
突然、轟音と共に地面が揺れる……地震か? にしても少し不自然な……
揺れが収まったかと思ったら、今度は……落石!
岩は俺の目の前、そして教授の後方……つまり俺達の間に落ちてきた。
かなりデカイ。完全に道がふさがれている……
教授! 無事ですか!
声が届くかどうかも怪しいが、とにかく安全を確認しなければ……俺は必死に叫んだ。
「おーい、タカマルくーん! 聞こえるかー!? 危機一髪じゃったが、儂は大丈夫じゃ!」
ほっ……無事なようだ。良かった。
「とにかくこちらに来てくれないと、どうにもならん! すぐそこに、こちらに繋がる別の通路があるはずじゃ! 儂はここで待っておるぞ!」
判った、待ってて下さい教授!
……とは言ったものの、どの道だ?
あそこかな……木の柵でふさがれた道がある。あそこから向こう側へ行けそうだ。
あの柵をどうにかしないと……俺は落石にビックリして飛び出してきたパラスをキャプチャし、柵を切り裂いて貰った。
教授は無事とは言え急がないとな……なんか嫌な予感しかしない……
落石の向こう側にどうにかたどり着いた……時、俺の目の前を怪しげな二人組が走り去っていく。
「待たんか、お前らぁ!」
その後を教授が追いかけていく……悪い予感的中か。何かあったな……
「おおタカマル君! 非常に不味いことになった! 儂の研究の成果であるスーパー・スタイラーを、ゴーゴー団とかぬかす奴らに奪われてしまった!」
えっ、盗まれた!? スーパー・スタイラー持ち歩いてたのか……それ込みの護衛だったのか。
「あと20年若ければ、あんな奴ら、ヒネってポイのキューだったのじゃが……」
いやそんな事よりも教授……
「おおそうじゃ、とにかくあいつらを追いかけるぞ!」
ああ……ちくしょう、また「なんたら団」かよ。もういい加減にしてくれよ……
すぐに駆けだした俺達だったが、目的の二人は立ち止まってこちらを見ていた。
思わず俺達も足を止めてしまった……にしても、なんだあいつらの格好。
おかっぱ頭に、レンズの色は薄めだが大きなサングラス。
そして裾が無駄にヒラヒラしている白いズボン……何年前のグループサウンズだ?
「間抜けなお二人さん。さっきの落石は自然の災害とでも思っているのかい? ハッハッハーッ! このトンネルでしばらくじっとしていやがれ!」
いやおかしいとは思ったが……罠を張られていた?
ということは、教授がここを通ることも、盗まれたスーパー・スタイラーを教授が持ち歩いていたことも知っていた?
教授は「リーダーレンジャーしか知らない」とか言ってなかったか?
どこかで情報が漏れていて、待ち伏せされていた……
とにかく今そんな推測をしている場合じゃないな。あいつらを捕まえないと。
「ヘッヘッヘ ここでリモコンのスイッチ押しちゃう悪いボク。せーの、ポチッ!」
なんたら団の一人がリモコンのボタンを押すと、また地面が揺れた。そして、落石!
……だが、岩は俺達の後方へ落ちただけ。帰り道を塞がれたが、あいつらを捕まえるジャマにはならない。
「あ……こ、これって、いわゆる……いわゆる、いわゆる……あ、いわゆる、いわゆる……失敗?」
「いわゆるいわゆるうるさいよ! 失敗もいいとこだ! これじゃこいつらを足止めできないだろ!」
「なーに言ってんの! 仕込んだのはアンタの方! このボクはスイッチ押しただけで岩を落とす場所はアンタが決めたんじゃないか!?」
「それも一理ある! とにかく、今は逃げよう!!」
あれか、なんたら団特有の……「まぬけ」って奴か?
団とか名乗ってる奴らには標準装備らしいな……おかげで助かった。
だが、こういう奴らの「逃げ足が速い」ってのもまた標準装備なのか……追いつけない。
二人を追いかけてトンネルを抜け、外に出た……ところで、地響きが。
またあいつらが何か仕掛けたのか?
いや違う……野生のサイドンが暴れている!
「サイドンの奴……さっきの二人に何かされて気が立っているんじゃろう」
まずいな……無視するにもこれだけ暴れられては危険だ。
ついでに言えば、放っていくわけにも行かないな……これじゃ
「タカマル君……スタイラーのエネルギーは大丈夫か? このサイドンをキャプチャしなさい。タカマル君の気持ちをキャプチャに込めればサイドンは落ち着くはずじゃよ」
やるしかなさそうだ……サイドンか。地面タイプだからマイナンのポケアシストは使えないな。
教授とはぐれた時に見かけたニョロモをキャプチャしておけば良かった……なんて、あの状況でそんな余裕はなかったか。
とりあえず、その前からキャプチャしていたマダツボミの力を借りよう。
草タイプのポケアシストはキャプチャラインから草を発生させ、それを絡ませて足止めすることが出来る。
うまくサイドンを足止めし、キャプチャ開始……
しぶとい、なかなかキャプチャできないが、アシストもあってどうにかキャプチャできた。
「サイドンは何とか落ち着いたようじゃ。リリースして元いた場所に帰してやってくれ」
了解……サイドンはリリースされると大人しく場を離れていった。
「ふう……トラブル続きじゃな。今の騒ぎであいつらを完全に見失ってしまったな」
ですね……くそっ、まさかこんな自体になるとは……
いや、そうなることも想定しなければ護衛にはならないだろう
いくらレンジャー初心者とはいえこの失態はデカイ……
「今はフォルシティに戻って対策を練ることにしよう」
落ち込む俺を見かねてか、教授が声を掛ける。
確かに……ここにいても始まらないからな。
俺達は黙って、フォルシティへと向かった。

洞窟を抜けた先からフォルシティまではすぐだった。
そして目的地であるレンジャーベースも入り口近くにあった。
「フォルシティのレンジャーベースに到着じゃ。タカマル君ご苦労じゃった! ミッションクリアじゃよ!」
……クリアだって? 冗談じゃないですよ……
「……ん? 嬉しくないのか? もしやスーパー・スタイラーを奪われてしまったことが引っかかっているんじゃろうか?」
当然でしょ。完全に護衛は失敗。俺の失態ですよ……
「いいか、タカマル君。お前さんのミッションは、この儂をこの場所まで無事に送り届ける事じゃ。儂を見てみろ。怪我一つしておらんじゃろ? そしてそこが目的のレンジャーベース。つまり、立派にミッションクリアじゃよ!」
ですが教授……
「……失態は儂にある。あのゴーゴー団とか名乗る連中に、スーパー・スタイラーのことが知れていたこと。にも関わらず儂が不用意に持ち歩いていたこと。持ち歩いていたにもかからわず、その事を君に伝えなかったこと……攻められるべきは儂なんじゃ」
……だけど俺は……
「ミッションクリア。今はそれだけで良いではないか。対策はコレから……」
慰め合う俺達の元へ、あれは……ドードリオか。ドードリオに乗った男が駆けつけてくる。
「お帰りなさいシンバラ教授! ハヤテは元気でしたか?」
どうやらここのレンジャーらしい。
俺が着ている制服とは異なる紫のスーツに身を包んだ男がドードリオから降りながら教授に挨拶している。
「ただいま、ジョウ。ハヤテは元気じゃったが儂の方がちょっとな……いや実は……恥ずかしいことじゃが……」
教授はジョウと呼びかけた男に近づき、耳打ちしている。
「な、なんですって!? スーパー・スタイラーを!? 詳しい話はレンジャーベースで聞きます! さあ早く!」
耳打ちした意味がないほどに、ジョウは大声を出し驚いている。
言われるままに、俺達はレンジャーベースの中へと入っていった。
中で、ジョウはまず俺に話しかけてきた。
「教授の護衛ご苦労様。君のことはハヤテから聞いています。レンジャークラス「1」にしてはなかなかの働きでしたね」
……引っかかる物言いだな。
意図しているのか判らないが、スーパー・スタイラーを盗まれたことを攻めているように聞こえるぞ。
さすがにこう、第三者から言われると腹が立つな……腹は立つが、同時に不甲斐なさも感じて何も言えない……。
「今からタカマルのレンジャークラスを「2」に認定しましょう!!」
……認定されてもな……俺はただ黙って聞くだけだ。
「教授……大事なお話があります。ここではあれなので、2階に行きましょう。タカマル……ここで待っていてください」
俺の正体を知らないジョウからすれば、新人にこれ以上この件に触れさせないってのは判る。
判るけど……なんだよ、この悔しさは。俺はただ2階へ上がる二人を見送るだけだった。
そんな俺の様子をどう感じたのか……近くにいたレンジャー二人が話しかけてきた。
「俺リンキ。よろしくね! 君のとこのハヤテさんとうちのリーダーのジョウさん、昔は同じチームで働いてたんだって。若い頃はライバル同士ぶつかり合うこともあったらしいけど、今はお互いに尊敬し合ってる感じだよ。オニドリル使いのハヤテにドードリオ使いのジョウって、フィオレでは有名なんだ」
「俺ケイトっつんだ。覚えてくれたら嬉しいよ。それにしても君凄いよな。シンバラ教授の護衛を任されるなんてさ。えっ? 凄さが判らない? シンバラ教授はレンジャーユニオンの技術最高顧問だぜ!? 君が使ってるそのキャプチャスタイラーだって教授の発明なんだよ!」
自己紹介がてら、新人相手に色々と話してくれる。
親切心もあるんだろうけど……俺はただ苦笑いを浮かべて頷くしかできない。
「うちのリーダーとシンバラ教授……ただ事じゃなさそうだったけど、何があったんだろう?」
「リーダーも教授も険しい顔してたな……」
結局、この二人とも教授達が気になるのか、雑談はあの二人のことに。
まあすぐに戻ってくるって話だから……スーパースタイラーのことはすぐに公表されるんだろうけど……
「あっ! アリアお帰り!」
なんて考えていたところに、一人又レンジャーがやって来た。
ふむ……なんというか、いかにも「お嬢様」って感じの女だな。
金髪縦ロールってのが、モロまんまだ。
そして俺の印象は全く的を外していなかった。
「あら? その制服……あなたもしかしてリングタウンのレンジャー? でも知らない顔ね……私はアリア。フォルシティのレンジャーよ」
しゃべり方とかまんまだな……なんて思っていたら、なんか不機嫌な顔つきになってきたぞ?
「アリアよ……聞いたこと無い?」
いや? 流石にレンジャー成り立ての俺がフォルシティのレンジャーまで知るはずもないだろうに……
「聞いたこと無いですって!? この私のことを? 何も知らないのね、あなた。まあいいわ。で、あなたの名前は?」
おいおい、ずいぶんとまぁ……あまりにもステレオタイプなお嬢様だな。本当にレンジャーか?
まあいい……タカマルだ、よろしく。
「ふーん、そう。タカマルっていうの。あまりパッとしない名前だけど、一応覚えておくわね」
この対応……まあいちいち突っかかっても仕方ない。ここは流しておくのが無難だな。
っと、教授達が戻ってきた。
「整列!」
ジョウのかけ声で慌てて整列するレンジャー三人。
慣れていない俺は遅れて三人に並び整列する。
「ゴーゴー団と名乗る連中に、教授のスーパー・スタイラーを奪われてしまいました! スーパー・スタイラーとは、キャプチャ・スタイラーの最新型と考えてください。まだ開発途中なので詳しいことは言えませんが、悪い奴らの手に渡ると悪用される恐れがあります。奪われたスーパー・スタイラーをなんとしてでも取り戻すこと! これはフォルシティのレンジャー全員のミッションです!」
やはり公表して探すって流れになったか……
ジョウの発言に続けて、教授も声を掛けてきた。
「……これはいつものミッションではない。フォルシティだけでなんとかできる問題ではないのじゃ。全てのレンジャーベースを統括するレンジャーユニオンの最重要ミッションとして、フィオレ地方にある全てのレンジャーベースにたった今伝えたところじゃ。各地のレンジャーと協力し合ってミッションをクリアして欲しい! 儂が油断したこと、申し訳なく思っている……」
……申し訳ないのはこっちなんだが……教授一人に背負わせる責任じゃないんだがな……
まあだからって俺だけが背負うものでもない……少なくとも、教授一人の問題ではないはずだ。
「いいですか! シンバラ教授の為にも、全力で頑張ってください! とにかくまずはゴーゴー団の情報を徹底的に集めること! スーパー・スタイラーが奪われたクロッカトンネルを中心に活動を開始してください! こまめな報告を忘れないように! 以上、解散!」
ジョウの号令で飛び出していく三人。
汚名返上とばかりに俺もその後に続こうとしたが……
「待って下さい、タカマル君。あなたには別のミッションを行って貰います」
は? 別のミッションだと?
ちょっと待て……各レンジャーベースにも伝えて合同作戦をやってくってなったんだろ?
つか、現場にいたのは俺だぞ。俺が直接調査に加わった方が良いに決まってる。
「……その気持ちは嬉しいのですが……今のタカマルのレンジャークラスではこのミッションは無理でしょう」
なっ!? 調査にレンジャークラスもなにもないだろ!
「落ち着きたまえ、タカマル君」
だけど教授!
「落ち着きたまえ……ほら、君のパートナーも怖がっている。まずは落ち着きなさい」
……マイナンがギュッと俺にしがみついている。
……俺は彼女の頭を黙って撫でてやる。
「……ハヤテが気にいる理由がよく判りました。確かに君はレンジャー向きの熱い心を持った男のようですね。ですが……判って欲しい。新米の君だからこそ、合同調査に加わると指揮系統に乱れが生じることもあるのです。レンジャークラスというものは、そういった経験も加味されて認定されるものなのですよ」
……ジョウは冷静な男のようだ。そして彼の言うことは筋が通っている……悔しいことだが。
「君には他に頼みたいことがあります。今回のミッションでフォルシティの街からレンジャーがいなくなってしまう。その間、この街のレンジャー活動を君に任せたいのです。困っている人達を助けてあげて下さい……これをタカマルの今回のミッションとしましょう」
……まあ確かに、出払っていなくなる「穴」を埋める役が誰か欲しいところだよな。
それが俺か……俺が適任って事か。
自分の失態も取り返せないのか……ロケット団を潰し、マグマ団アクア団を改心させ、シャドーを二度も解体させたこの俺が……
無力だな。俺は奴隷達がいないと何も出来ないのか……レンジャーとしての俺はあまりにも無力だな。
「ご主人様……」
心配そうに見つめるマイナン……俺は彼女の頭を又撫でてやりながら、ジョウからのミッションを受け取った。
唇を噛みしめながら出来る、俺の精一杯だった。

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フィオレ地方の表玄関フォルシティから、俺達はオニドリルに捕まってリングタウンへ。
本来なら連れてこない約束だった奴隷達なのだが
プラスルとマイナンがアズサにポケモンボールを「解除」してもらい、野生状態になって勝手に付いてきた
ともすれば、他の誰かにゲットされてしまう危険性もあるが
幸い……とはいいづらいが、フィオレ地方にトレーナーはいない。
逆に言えば、いないから俺は奴隷達を連れてこられなかったわけで
そんなわけだからコイツらが勝手に付いてきたわけで……まあなんにしても困った事態と言うことだ。
ひとまず、この当たりで大人しくしていてくれプラマイ。なんかハヤテに妙案があるらしいからそれまでの間だな
「はーい。じゃいこっかプラスル」
「じゃあ待ってるねー」
……大丈夫かなあいつら。さっきヘルガーにちょっかい出したばかりだし……
まあ言っても始まらないな。とりあえず……ここがレンジャーベースか。
なるほど、基地と言うだけあってそれなりに大きな施設だな
っと、中から誰か出て来た。お迎えかな?
「リーダーお帰りなさい!」
ポニーテール……っていうのかな? 後ろで髪を縛ってるけど、その先が上に跳ね上がってる
どーやってセットすんだあの髪型。まあなんか活発そうと言うか似合ってるからいいけど
服装は今俺が来ているレンジャーの衣装とほぼ同じ……って事は、やはり彼女もレンジャーのようだな
うむ、ホットパンツと黒いハイソックスとの間にある絶対領域が素晴らしい女性だな!
……こんなこと考えてるから奴隷達に「また一人以上増える」とか言われるんだよね……
「もしかして彼が期待の新人さん? 初めまして、私ヒナタ。あなたの名前は?」
おっと、見取れている場合じゃなかったな
「今日からリングタウンのレンジャーになったタカマルだ」
……俺が自己紹介する前にハヤテに紹介されてしまった
「タカマル、タカマル……うん、覚えた! 今日から同じチームで働く仲間として一緒に頑張りましょう!」
よろしくヒナタ。
「紹介もすんだことだし、中に入ろうか」
「この建物がリングタウンのレンジャーベースよ。さあ入って入って!」
ん……なんか慌ただしいな二人とも。まあゆっくりする必要もないけど……
ほう、思っていたより中はこざっぱりしているというか、広めのロビーって感じだな
主な設備は二階にあるのかな?
「オーイエー、オーイエー、聞いてますよ、聞いてますとも! きみ、手紙の子でしょ?」
手紙? ロビーにいた男性から声を掛けられたが……手紙って何だ?
「うん、読ませて貰った。中々良い手紙だったね」
なんのことだろう……チラッとハヤテを見る。目を背けた……なに、そーいうこと?
なんかハヤテが裏工作的に俺を招く口実を作っていたっぽいな。その小道具が手紙か
おいおい、どんな内容だったんだよハヤテ……まあまだこの人には好感触だったっぽいからいいけどさ
「あ、そうそうそうそう、僕の名前はイマチ! イマチって呼んでね。そのまま」
よろしくイマチ。タカマルだ……っと、先輩に対して馴れ馴れしすぎたかな。失礼。
「いやいや気にしないで。レンジャーになって3年目なんだけど、なかなかレンジャークラスが上がらなくてね……」
レンジャークラス?
「あ、レンジャークラスっていうのは、これがまた大変で……あ、そうそうそうそう! こいつパートナーのヤドン! 結構キビキビしてる方。とにかくよろしくねっ!」
よろしく……なんかせっかちな人かな? それにパートナーって?
「全員ここに集まってくれ!」
俺の疑問をよそに、ハヤテが集合をかける。まあ後から聞けばいいか。
「ここがリングタウンのレンジャーベースだ。タカマルも今日からはここのメンバーということだ。とはいえ一人前のレンジャーとして認められるにはまだまだ力が足りない。これから学んでいかなければならないことが山ほどあるが大丈夫か?……うん、中々良い表情をしているな。今のきみは技術はともかく気持ちは立派なレンジャーだ。リングタウンの仲間として一緒に頑張っていこう!」
……ハヤテの言葉に反応してか、なんかヒナタがポーズを決める……なにその戦隊物っぽい流れ。遅れてイマチまでポーズを決めようとして……失敗してるし
あれ、なに? 俺もそーいうポーズとかしなきゃダメな流れ?
とりあえずなんだ……これはレンジャーの「欠点」として報告すべき?
戸惑ってる俺に注目が集まるが、その注目が突然それた。後方の入り口が開き人が入ってきた為に。
「大変だ一大事だ! 事件なんだトラブルなんだ!」
慌てた様子で男性……一言で言えばいかにも「オジサン」という風体の男がハヤテに駆け寄った。「聞いてくれリーダー! オレの大事なポケモンがライラの森に逃げちまった! 早いとこオレのポケモンをキャプチャして保護してくれよ!」
ふむ、ポケモン絡みのトラブルか……こーいう小さなトラブルも解決していくのがレンジャーの仕事だったな。
「これはタカマルにぴったりのミッションだな。ライラの森に逃げてしまったセキネさんの大事なポケモンをキャプチャすること。これをきみの初めてのミッションとする! 失敗を恐れず頑張れ!」
いきなりか……だが確かにまだ見習いという俺には適任かもな
「おいおいおいおい!? 失敗を恐れるなって、リーダー冗談だろ? 失敗だめだろ! 失敗を恐れてくれよ! こんな見習いくんにミッション任せちゃって大丈夫なのかよー!」
まあ言いたいことは判るが……このセキネって男、失礼だろその新人本人目の前にして……
「ははは、心配ないですよ!」
なんか手慣れてる感じだなハヤテ……しょっちゅうこんなトラブルを持ち込む人なのだろうか?
「リングタウンを出れば、そこはライラの森だ。私は先に行って現地で待っているからな」
ハヤテはそう言い残して早々に出て行ってしまった。
残されたセキネって人はオロオロしてる。
「参ったな。一番頼れるレンジャーにって事でリーダーに頼んだのに……ああこの新人頼りない顔しちゃってるよー」
悪かったな……言いたいことだけ言って男も出て行ってしまった。
「タカマル、気にしないで良いからね。セキネさん口は悪いけど心から思ってる訳じゃけっしてないから」
まあ、なんとなく判るけど……だからって腹が立たつのも仕方ないだろ
「そんなことより……キャプチャ・スタイラーについて簡単に教えるわね。まだ慣れてないでしょ?」
こっちへ来る前にぶっつけでちょっと触ったが……折角だしご教授願おうかな。
一通り俺はヒナタからスタイラーのこと、それからこのレンジャーベース受付にいるオペレーターのことを聞いた。
このスタイラーは大まかに言えば電力エネルギーで動いており
キャプチャ時に発生する光の線にポケモンからの攻撃を受けるとダメージが逆流してスタイラーの電力が激減するらしい。
このエネルギーが無くなると、スタイラーへの充電すら受け付けなくなる為、レンジャーとしての活動が出来なくなる
つまり、有り体の言い方をすれば「ゲームオーバー」ってことだな
これは気をつけないとな……マイナン相手の時は流石に攻撃はしてこなかったけど
いきなりスタイラー向けられたら普通野生は攻撃してくるだろうし。
で、エネルギーが減ったらオペレーターに頼んで充電して貰うか
ポケモンに充電して貰うっていうやり方もあるらしい。
まあその辺は追々……かな。とりあえずハヤテ達の後を追うか。
「タカマル、初めてのミッション緊張しちゃってる?」
んー、まあ全くしてないってことはないだろうけど、そんなでもないな。
「へえ、なんか妙に「慣れてる」って感じするね」
え? あ、そうかな? いやー、そう言われると緊張して来ちゃうねー、アハハ
……いかんいかん。確かにこの手のことには場慣れしてるから、新人らしい緊張感が足りないかもな
まあだからってすぐに俺の正体がばれるってことはないだろうけど……
「ね、面白そうだから私も一緒について行くことにする!」
面白そうって……まあいいけど。
それじゃヒナタ、森への案内頼むね。
「オッケー」
とりあえず俺はヒナタと一緒にハヤテ達が松森へ急いだ。

「では見習いミッションを始めよう!」
着いて早々、ハヤテがミッションの開始を宣言する。
なんか依頼人の男はまだオロオロしてるな……
まあ大切なポケモンが逃げたってんだから判るけど、ちょっとは落ち着け。
「このライラの森に逃げたセキネさんのポケモンをキャプチャすること。そしてそのポケモンをここで待っているセキネさんに届けること。特に難しいミッションではないはずだ」
まあ内容だけなら確かに……
「ところでセキネさん。逃げたポケモンはなんですか?」
そうそう、それ。肝心なソレを聞いてなかったな。
「逃げたのは、ほら、あれ! いるだろ、ほら、あれだよ、あれ! 気が動転しちゃって今は名前が出てこないけど、パワフルなのに品があって、しゅるっとしているかと思えば、もよんっとしていることもあって……要するに、早い話が、ポケモンだよ、ポケモン!」
なんだそれ……気が動転してるとは言え大切なポケモンじゃなかったのか?
「困ったヒントだな……どうだ? タカマル。どのポケモンか判ったか?」
これで判ったらそいつはエスパータイプだと思うぞ俺は
「ハハハ。私も一緒に逝くからどうしていいか判らなくなったらいつでも相談してくれ」
参ったな……まあこうなったら片っ端からキャプチャしていくしかないか?
ヒナタ、きみは判る?
「んー、セキネさんのヒントは宛にしない方が良いと思う」
……ははぁ、これは知ってるな?
そうか、あくまで見習い向けのミッションだから自力で解決してみろってことなんだろうな
ってことは、このセキネって人も実はさくら……って訳ではなさそうだな
まあともかくやるだけやってみよう。
ハヤテに見守られながら、まずはすぐ目についたチコリータやジグザグマをキャプチャ。
大人しいポケモンだからキャプチャ自体は難しくなかったが、どうやら依頼主のポケモンではないらしい。
他のポケモンとなると……お、あんな所にスバメがいる。
なんとなく……通常の野生って感じじゃないな。人間になれてる感じがする。
もしかしてこの子かな? ひとまずキャプチャ……よし、成功。
「よくやったタカマル! このスバメこそがセキネさんのポケモンだ! 黙っていて悪かったが私は知っていたんだ」
あー、やはり知ってたのか。まあそうだろうな……
「少ない情報でも根気よく問題を解決しようとする姿勢。それを確かめたかった。きみは合格だ。さあセキネさんに届けに行こう!」
いや正直ただの総当たりで根気良くって言うか……まあいいか。
それにしてもスバメか……まあ「品があって、しゅるっとしている」ってのは判るが
パワフルか? それに「もよんっとしていることもあって」って、どんなよ?
ヒナタが言う通りこれはヒントにならなすぎる。
これを「少ない情報」ってするのは無理があるだろハヤテ……
まあいい、依頼人に届けよう。
「おおおッ! オレのスバメちゃん!……驚いた。やるじゃないかレンジャー! 流石はリーダーが見込んだだけのことはあるな! 辛く当たって悪かった。どうもありがとう!」
足早に帰って行った……騒がしい男だなぁ。まあ言う通り「悪い人じゃない」のは判るけどさ。
「やったわね、おめでとう! 実は私の見習いミッションも、セキネさんのスバメ探しだったのよ」
ってことは、しょっちゅう逃がしてるのか? あの人
「アハハ……まあね。ここリングタウンじゃちょっとした有名人かも」
なんだかなぁ。まあ先ほどざっと見渡した感じ、リングタウンは小さな村だったから
彼のような男が「ちょっとした有名人」になるのはよく判るけど。
「ミッションクリアおめでとう! これで名実共にポケモンレンジャーの仲間入りだ!」
なんかあまり達成感無いけど……まあ最初だからこんな物か。
なんて、初ミッションを無事に終えたっていうムードの中……
「リーダー大変だ! そこの木が燃えてるよ!」
こちらへ駆けつけてきた少年が、血相を変え叫びだした。
「なんだって? それは予定外だ! タカマル! すぐに消火活動だ!」
なんてこった……少年が指さす先では、確かに木が燃えている。
にしても……なんであんなところで火が? っと、考えている場合じゃない。消火活動だ。
だがどうやって?
ハヤテは直ぐさま燃える木を目指し……いや通り過ぎ、そばに流れている川へ向かった。
そのすぐ近くにはミズゴロウが。なるほど、コイツらをキャプチャして消火か。
ハヤテに習って、俺もミズゴロウをキャプチャ……っと、こいつら興奮して攻撃してくる
こういうことも当然あってのキャプチャか……でもまだ大人しい方か。無事キャプチャできた。
で、キャプチャしたらどうすりゃ……って、命じれば良いみたいだな
よしミズゴロウ、あの木に水鉄砲!
……ふぅ、たいした燃え方じゃなかったから、すぐに消火できたな。
「ぶっつけ本番だったけど、なんとかクリアできたな!」
まあ真似ただけだったけどね……おっと、ミズゴロウが逃げてしまったな
そうか、一度こっちの命令を実行すると、キャプチャが解けて自動的にリリースしてしまうのか。
まあレンジャーの基本理念からすれば正しいんだろうけど
例えば今のような場合、一度キャプチャして命じただけで消火できなかった時とか……
何度もキャプチャして消火、とかやってたら間に合わないだろう。
このあたりは一つの問題点だよな
そして、今回はすぐ近くに川があってミズゴロウがいたから良いけど
現場の近くで必ずしも水タイプのポケモンがいるとは限らない。
そんな時どうすればいいのか……たぶん工夫しろって事になるんだろうな。
だけどトレーナーである俺からすれば、やはり常にポケモンを連れ歩いてどんな状況にでも対応出来るようにしたい……
ただそうすることが、ポケモンの自由を奪い道具化しているだけって考えもあるだろう
難しいな……地域ごとのポケモンへの考え方も違うだろうし
ハヤテが他地方在住のトレーナーである俺の意見を求めたのは、こーいう事情もあってのことなんだろうか?
まあ……いずれにせよもうしばらくレンジャーを続けてみないことにはな。
「ありがとうポケモンレンジャー! あのぼく……言おうと思ってて言えなかったんだけど……あの火の原因は、実はぼくなんだ! レンジャーのマネをして無理矢理ポケモンを捕まえようとしたら、ポケモンが驚いちゃって……その時吐いた炎が木に燃え移っちゃって……ご、ごめんなさい! もっとポケモンの気持ちが判る人になります! 本当にごめんなさい!」
あーなるほど……不自然だと思ったがそーいう事か。
「坊や、よく言った。その気持ち、決して忘れるんじゃないぞ」
優しく子供の頭を撫でながら諭すハヤテ……あーいう対応は流石リーダーだな。
正直……俺はああいう大人な対応が出来ないからなぁ
「さあ私達はレンジャーベースに戻るとしよう!」
了解。ふぅ、なんかトラブルが続いたが、俺がレンジャーという職になれるにはちょうど良かったな
ラッキー……と言ってしまったら、いかんよな。トラブルはトラブルなわけだし。
さて、森からレンジャーベース、というかリングタウンは隣接しているからすぐに戻ってこられた。
途中、俺がキャプチャしたポケモンはみんなリリースした。
さて……隙を見て、プラマイ達のことを改めてハヤテに相談したいんだが……
「さっきの見習いミッションは中々見事だった。あそこまでやるとは正直思っていなかった。これからも頑張ってくれ」
了解。ところでハヤテ……
「タカマル、次のミッションが決まるまでリングタウンをパトロールしてくれ。何かあったらすぐに私に知らせるんだ」
ん、ああ……了解。じゃあちょっと行ってくる……上手く俺を一人にするきっかけを作ってくれたか。
「リーダー、タカマルはまだこの町の事を知りませんし、私が町案内も兼ねて同行してもよろしいでしょうか?」
あー……とても親切でありがたい申し出だか、これは……
「……判った。ではヒナタもパトロールを頼む」
「了解!」
……まあそう言うしかないよな。仕方ない、ここはありがたくヒナタの申し出を受け入れよう。
よろしく先輩。
「先輩はやめてよー……じゃあその先輩からアドバイス。レンジャーはミッションだけが仕事じゃないのよね。町のパトロールも大事な任務の一つよ。町の人に色々話を聞きに行きましょう」
了解。まあやることは警察官と同じようなものか。
地域ごとにレンジャーベースを配備して、地域ごとにレンジャーを配置する。
そうすることで地域住民との連帯感とか、そーいうのを大事にしていけるって訳だな
その為には住民とコンタクトを取ることが大事……パトロールにはそういう活動も含まれていると。
このあたりはシッカリしてるよな。カントーとかでも見習うべきだと思う。
ただまぁ……正直俺はこーいう声かけとか苦手なんだがなぁ……っと、外に出た途端鳴き声が?
「今ポケモンの鳴き声が聞こえたよね?」
聞こえたな……今も又鳴いたぞ。あの声は……嫌な予感がする
「あっちの方よ!」
駆け出すヒナタの後を追うと……やはりか。声はマイナンだった……なんだってスバメに追いかけられているんだよ
「まてまてまて! オレのスバメちゃん! 落ち着け! 落ち着いてくれ! オレのスバメちゃん!」
「マイナンがスバメに追いかけられてる! しかもあれはセキネさんのスバメよ!」
なにやってんだアイツは……
「マイナンを助けないと!」
むしろスバメを助けるって気がする……
「スバメをキャプチャして落ち着かせなきゃ!」
OK、やってみましょう……って、おいマイナン!
「タカマル見て! マイナンが!!」
あいつ……スパークでスバメを攻撃しやがった。技を受けたスバメは麻痺したのか痺れているようだ。
「スバメが痺れて動けなくなってる! タカマルチャンスよ! スバメをキャプチャして落ち着かせて!」
チャンスと言えばチャンスだけど……ったく、まずはキャプチャが優先か
まあ動けないから楽に出来たけど……
「やったわねタカマル!」
「おお、誰かと思ったらタカマルちゃんじゃないか! またきみにスバメちゃんを捕まえて貰っちゃったな。いやいやありがとう!」
いやうん、まあ……今回ばかりは礼を言われると微妙なんだが……
「ところでセキネさん。どうしてスバメがマイナンのことを追いかけていたんですか?」
大方想像できるけど……
「いや実はね……スバメちゃん帰ってきてオレは嬉しくて嬉しくて、頭をナデナデしてあげてたわけ。そしたらそれを見ていたそのマイナンが、たぶんヤキモチだろうねえ、スバメちゃんにちょっかいを出し始めたんだ。初めは我慢していたスバメちゃんだけど、あまりにしつこいのでとうとう怒っちゃったという訳なんだね」
「そうだったんですか……」
ヤキモチかどうかは知らんが、あのやんちゃ娘がイタズラしたってのは間違いなさそうだな。
……近くに隠れてコッチ見てやがる。
俺は睨みつけて、無言の圧力……渋々、マイナンとプラスルがこっちにやって来た。
マイナン……スバメにちゃんと謝れ。
「……ごめんなさい」
「ああもういいんだよ……もしかしたら寂しいのかな。いやなんとなくだけどさ、そんな気がするんだよねえ。スバメちゃん、マイナンのことはもう許してあげておうちに帰ろうかね」
スバメは大人しくセキネさんについていった……ああそういや、あのスバメってボールとかで捕らえてないんだよな
だから逃走なんてトラブルもあったが、ボール無しであれだけ人になつくというのも凄いな。
これもまたフィオレ地方ならではというか……カントーとかじゃ考えられんな。
「セキネさん言ってたけど、マイナン寂しかったのかな。だってタカマルにすごく甘えてるみたい」
甘えているというか……これで誤魔化す気というか……
ったく、思わず謝らせてしまったが、それを「甘えている」と思ってくれて良かった……けど
「もしかしてタカマルは前からこのコの事知ってたの? 良かったら教えてくれない?」
まあそうなるよね。さてどう誤魔化そうか……
「……ふうん……フォルシティの港で?……街の中でヘルガーとケンカ!?……タカマルの足に捕まってリングタウンに! 短い時間色んな事があったのね」
とりあえ゛す、俺の手持ちだったとかそのあたりは言わずに「勝手に付いてきた」とかそんな話にしておいた
後はハヤテが話を合わせてくれれば良いんだけど……
「そうだ! タカマルにはまだパートナーポケモンいないよね? このマイナンこそタカマルにぴったりのパートナーだと思うよ!私保証しちゃう!」
パートナー?
「レンジャーにはパートナーポケモンを一人だけ連れて行けるの。本当に心を通わせ会ったポケモンだけをパートナーにすることが出来るの。このマイナンならタカマルにピッタリだわ!」
なるほどパートナーね……ハヤテに何かしら考えがあったようだが、このパートナー制度のことだな?
そういやハヤテがつれていたオニドリルはキャプチャしたポケモンではなかったようだったな
まあこれでどうにかマイナンを連れ歩けることにはなったが……プラスルはどうしようか?
ヒナタ、パートナーってのは一人だけなのか?
「原則としては一人だけ……そのプラスルのことね? どうしようか……リーダーに相談する?」
そうしようか……とりあえず俺達はプラマイを連れてベースに戻った。
「リーダー、パトロール完了です!」
「二人ともお疲れ様。おや? そのマイナンとプラスルは?」
ハヤテはこいつらが誰かを判っているはずだが、とぼけてくれている。
あーリーダー、こいつらはフォルシティから「勝手に付いてきた」二人ですよ
「そうなんです! 町をパトロール中に偶然出会ったんですよ。マイナンのイタズラ好きはちょっと困りましたけど、タカマルへの恩は忘れてなかったみたいです」
ヒナタが俺の説明を鵜呑みにしたそのままをハヤテに説明する。
まあヒナタよりも事情を理解しているだろうハヤテは、それでも真剣に聞くフリをしている
この人、結構役者だよなぁ……
「リーダー実はですね……」
「ヒナタ、説明はいらないよ。見れば判る。タカマルはマイナンをパートナーポケモンに決めたんだろう? 私も認めよう。なかなかのコンビじゃないか!」
話が早すぎ……まあ理解力あるリーダーで通ってるんだろうけど。
「プラスルはヒナタ、きみがしばらく「仮」パートナーにしたらどうだ?」
「私のですか!?」
お、そー来たか……まあ一時的に預かって貰うのは助かるけど
パートナーにしておいて、俺が帰る時に別れさせるというのはちょっと酷かと思うんだが……
だからとりあえず「仮」ってこと?
「正式なパートナーではない。ヒナタはレンジャーとしての実力は申し分ないが、まだパートナーが決まっていない状態が長く続いている。このままではきみのレンジャーとしての成長を妨げてしまう恐れがある。どうだろう、ひとまずそのプラスルを仮パートナーにして、パートナーを連れてのレンジャー活動という物に慣れておくというのは」
はー……よくもまぁそーいう理由をひねり出せたな。
ハヤテって結構口が上手いというか……そういや俺も彼に説得されて来た一人だったなぁ
恐るべしリーダーレンジャー……
「……判りました。プラスル、私でいいかしら?」
「うん、もちろん! 綺麗なお姉さんは大好きだから!」
「きっ……アハハ、照れちゃうわね……」
プラスル……♀奴隷達にちやほやされてるうちに、色々生意気になってきたよなぁ
まあひとまずコレで……こいつらを放し飼いにせずすんだ。
だが解決した訳じゃないからな……マイナン、判ってるだろうな……
「アハハ……ご主人様、ちょっと怖い……」
ったく、よくもまぁこれだけ振り回してくれたな……
たっぷりと、「お仕置き」してやるからな。それを望んで付いてきたんだろ? 俺の「処理」をするって言ってたしなぁ
「えっと……やっ、優しくして欲しいなぁ、とか……」
お前の希望が通るとでも?
「……ホウエンに帰っても良いかな? あの……ご、ごめんなさいぃぃぃぃぃ!」
たっぷり給った分、キッチリマイナンで処理してやる。
それこそ一晩でM属性にバッチリ目覚めるくらいになぁ……久しぶりに鬼畜モードのスイッチ入ったぜぇ……
「はひぃぃぃぃぃ!」
レンジャーベースで寝泊まりする以上、あまり大きな音は立てられないが
そこはそれ。やりようってのはあるもので……ククク、じっくりたっぷり可愛がってやるぜぇぇぇぇ!

PR:ミッション0・ようこそフィオレ地方へ

ポケモンレンジャーでの脳内ルール

・ゲームは主人公が「ハヤテ宛てに手紙を7度送り、その熱意に打たれたハヤテからレンジャーになるよう招待される」ところからスタートしますが、こちらでは「ハヤテから7度の連絡を受けた主人公(タカマル)がその熱意に根負けしてフィオレ地方を訪れる」という脳内設定に。
・またタカマルがトレーナーであることや2冠チャンピオンであることなどは、ハヤテとシンバラ教授以外には秘密、という設定にする。
・ゲーム主人公のパートナーとなるマイナンはゲーム中に出会う設定だが、このマイナンは「元々タカマルの奴隷だったマイナンがコッソリ付いてきてしまった」と変更。
・同様にヒナタのプラスルも、ゲームでは最初からヒナタのパートナーとして登場するのだが、「マイナンに連れられて一緒に来てしまった」とし、ヒナタには最初パートナーがいない状態ということにする。
・このゲームは基本的に捕まえたポケモンをそのまま手持ちにすることがないので、ポケモンを奴隷にするようなシーンは今回無い
・その他、いつも通りのご都合主義で様々な点が脳内変換される




アズサの勧めで、俺はフィオレ地方でリーダーレンジャーとして活躍しているハヤテを紹介された。
リーダーレンジャーというのは、任された地区のリーダーとしてポケモンレンジャー達を束ねる役職らしい。
ハヤテはリングタウンという街を任されているそうだが、
是非リングタウンに来てポケモンレンジャーの仕事を体験し
俺の視点から問題点を指摘して欲しい……という要請がされた。
まあぶっちゃけ、ポケモンレンジャーになってくれって話だ。
もちろんそれは断った。俺はトレーナーとして奴隷達とイチャイチャラブラブにすごしたいからな
だがハヤテは何度も何度も連絡を取って催促してきた。
レンジャーとしての資格を俺に取って欲しいようだ。
レンジャーとして常時活動する必要はないが、有事の際に手を貸して欲しいということと
俺がこれまでに体験したことを参考にしたいとか
まあなんか色々理由は盛りだくさんらしく、とにかく来てくれって事だ。
どこぞの地方では「三顧の礼」なんて言葉があるようだけど
7度も連絡をしてこられちゃあなぁ……
まあ悪い奴ではなさそうだ。ちょっと熱すぎる気もするけど。
アズサの顔もあるし、奴隷達は「どーせ行くんでしょ?」って対応されちゃってるし……まあ行くけどさ
というか、来ちゃったけどさ……
ここはフォルシティ。フィオレ地方の表玄関として知られている港町だ。
とりあえずここでハヤテと落ち合うことになっているんだが……
にしても、ずいぶんと野生のポケモン達がいるんだな
カントーやホウエンでは、飼われているポケモンを連れ歩く人はいるけど
野生のポケモンが町中をうろつくことはまず無い。
そもそも野生のポケモンは人を襲うから、野生ポケモンの出没する草むらにはトレーナー以外入るな、と教育されてきたから
街に野生ポケモンが馴染んでいる光景というのが本当に珍しいよ。
キャモメが飛んでてクラブがそのへんを歩き回ってて、カビゴンが寝てる……ああ、なんかカビゴンだけは俺も見慣れてる気がするけどな
なるほど、この地方ではトレーナーではなくレンジャーが主流ってのは判る気がしてきた。
襲われる心配がないから無理に捕まえるよりは調和を望む……うん、良い事じゃないか。
まあだからってカントーとかで真似をしろって訳にはいかないだろうけど。
地方には地方の事情があって、それに伴ったポケモンとの共存がある、ということか
……なんだか、着いたばかりなのに置いてきた奴隷達がちょっと恋しくなってきたな。
今回、俺は単身でフィオレ地方に来た。
こっちでレンジャーになる……そう、結局資格だけは習得することになったんだけど……
その際、俺がトレーナーだって事やカントーホウエン2冠チャンプだってことは伏せることになった。
目的の一つに、現在のレンジャー部隊の問題点を俺目線で指摘する、ってのがあるんで
チャンプであることもそうだが俺がハヤテに招待されて来たってのも伏せることにした。
そんなこともあって、今回は誰一人として奴隷を連れてこられなかった。
まあここではレンジャーとして行動することになるんだから
ポケモンボールで捕獲したポケモンを連れ回すわけには行かないし
……よく考えたら、ここにいる間、俺禁欲生活を強いられる?
ここまで船で来たが、船旅の途中は久しぶりに一人でぐっすり寝たなぁってくらいにしか思ってなかったが
これからしばらく夜は一人か……うわー、それはそれで辛いなぁ……
むー、こうなったらレンジャーとして捕まえた野生のポケモンを……って、それじゃレイプだな
まいったな、こりゃ死活問題かもしれない。
どこかに風俗でも……ん? なんだろう。子供が騒いでるな……どうした坊主?
「あっ、レンジャーのおにいちゃん!」
レンジャーの? ああそうか。俺は今レンジャーの格好をしている
というのも、ここへ来る前にハヤテから制服が届けられ
これを着てフォルシティに着てくれって指示だったからだ。
まあ「目印代わり」って事もあってね
だからこの子が俺をレンジャーだと見間違えても仕方ないんだが……さて困ったな
まあいい、とりあえず話を聞くか。
「この木箱の裏に何か隠れてるみたい!」
……あー、なるほど。あからさまに怪しいってくらい激しく飛び跳ねてるな、木箱ごと。
この木箱って、なんかの荷物か? 港町だから色々運び込まれるんだろうけど……
とりあえず調べてみるか……って!
「やっと出られた!」
「もー、だから木箱は止めようって言ったのにぃ……」
お前ら、マイナン、プラスル!
「あっ、ご主人様!」
「やば、見つかった! プラスル、逃げるよ!」
「え? ちょ、待ってマイナン!」
ちょ、お前ら……って、逃げちまった……あれは間違いなく俺の奴隷のマイナンとプラスルだぞ
あいつら、俺に黙って付いてきたのか? しょうがねぇ奴らだな……マイナンの悪知恵だな?
ったく、やんちゃなのにも困ったもんだ……逃げ出したが、見知らぬ土地で大丈夫か? あいつら
追いかけるにも……ハヤテを待っている状況だしな
まあそのうち出てくるだろ……っと、こっちに向かってくる男がいるな。アイツがハヤテか?
「やあ! 待たせて済まなかった! きみがタカマル君だね? 送った制服、ちょっと大きかったかな? 気にするほどでもないか? ま、それはともかく、私がハヤテ……リングタウンのリーダーレンジャーだ」
タカマルだ、よろしく。
「よく決断して来てくれたね。お礼を言うよ。ではレンジャーベースへ案内しよう」
レンジャーベース?
「レンジャーベースというのは、レンジャーのための基地のことだ」
基地か。ずいぶんと大がかりな施設のようだな。
「まあね。このフィオレ地方には「フォルシティ」「リングタウン」「サマランド」「ウインタウン」という4つの街があり、それぞれに一つずつレンジャーベースがある。私がレンジャーとして働いているのはリングタウンという街だ。リングタウンのレンジャーベースはここから西へかなりの距離があって……」
ん? 今のは……
「今の鳴き声聞いたか?」
ああ。声からしてヘルガーか?
「あっちの方だ!!」
ちょ、おいおい駆けだして行っちまった……まあレンジャーとして治安を守る立場だから当然か
明らかにあの声は争っているような声だったしな……俺も急ぐか。
ハヤテの後を追いかけると……確かにヘルガーがいた。そして……おいおい、襲われてるのはマイナン達じゃないか。
「不味いことになってるな。あのヘルガーかなり気が立っているぞ」
ったく、あいつら何やったんだか……
「イタズラ好きのマイナンがたぶん軽い気持ちでちょっかいでも出したんだろう」
まあ、うん、そうなのかな……あいつらが俺の奴隷だって、ハヤテに知られるのは不味いかな……さてどうしたものか
「いきなりで申し訳ないが、ポケモン達をなだめるためにきみの力を貸してくれ!」
本当にいきなりだな。どうしろって?
「このキャプチャ・スタイラーをきみに預ける!」
キャプチャスタイラー? ああ、これが……
「キャプチャ・スタイラーとは、ポケモンと気持ちを通わせるための道具だ」
俺の話聞いてないだろハヤテ……
「正式なレンジャーしか持ってはいけない決まりだが、今は緊急事態だ! きみはマイナンをキャプチャしてくれ! 私はヘルガーをキャプチャする!」
マイナンを? まあ出来るのならそれでかま……
「とにかくこれを受け取れ!」
いや人の……まあもういいけど
ふむ、これがスタイラーか。グリップ部分のようなコレが本体か? なんかコマのような者が取り付いてるな
で……これどーやって使うんだ?
「まずは私がヘルガーをキャプチャする!」
ん、お手本ってわけね
ふむ……このコマのような物を飛ばして、遠隔操作するのか
本体はやはりグリップ部分のようにして握り、この本体から指揮棒のようなアンテナを伸ばして使う、と
コマからはなにやら光の線が出てる。この線でポケモンを取り囲むようにする……のか。
ハヤテはヘルガーをキャプチャ? ようするにこのスタイラーとやらで大人しく従わせることが出来たようだ
さて俺の番か……とりあえずマイナンを睨む。会話の流れから自分の立場は判ってるはずだ。
逃げんな、と目で威嚇しておく俺。
さて見よう見まねで……このスイッチかな? ああ片手でコントロールできるようになってるのか。
よーし、やってみるか
んー、なにげに難しいな
何度か囲まないとダメらしいし、光の線にポケモンが触れたらやり直しか。
ジッとしてろってのにあいつは……まあいい、どうにかキャプチャ成功?
「よくやった! 初めてのキャプチャにしては上出来だった!」
ぶっつけ本番でよー出来たな。まあ相手がマイナンだったからか?
「それにしてもとんだアクシデントだった。きみのレンジャーの素質を知ることが出来たのはラッキーだったけどね」
素質ねぇ……まあ何とも言えないなぁ
「ヘルガーの奴落ち着いたようだな。さあ、元いた場所にお帰り」
ハヤテはヘルガーをキャプチャから解放して逃がした。そういやレンジャーはキャッチ&リリースが基本だったっけ
「キャッチではなくキャプチャ&リリース、だな。レンジャーは理由がなければキャプチャしたポケモンを連れ歩くことは出来ない事になっているからね」
だったな……だからこのマイナンもリリースしなければならないことになってるんだよな
……マイナンの奴、ここぞとばかり俺にすり寄って甘えてやがる……にゃろ、これで誤魔化そうって考えてるな?
「どうやらこのマイナン、きみのことを気に入ったみたいだな。とは言うものの、このまま連れて行くわけには行かないし……レンジャーはそこで生活するポケモンを他の場所に連れて行くことは出来ないんだ」
ですよねー
さてどうしたものか……ここは素直に事情を説明した方が良さそうだな
ここでまたはぐれても問題を引き起こすだけだし
俺は近くにいるだろうプラスルを呼びつけ、そしてハヤテに事情を説明した。
「そういうことだったのか……しかしこの子達をこのまま連れ回すわけにも……」
そうなるよなぁ……ったく、勝手に付いてくるからこーいうことになる……
「だってさぁ、ご主人様絶対一人じゃモンモンとしてると思ったしぃ」
うっ……まあそれはそれ。言い訳にはならないぞ。
プラスルも、お前はマイナンを止めるのが役目だろうに
「だってマイナンが行くって言いだしたら聞かないよ?」
ったく、そこをどうにかしろよお前が……はぁ、俺の躾が悪かったのかな
とりあえずハヤテ。このままここに放っておく訳にはいかないんで、レンジャーベース付近まで連れて行きたいんだが
「そうだね。また先ほどのヘルガーのようにトラブルがあったら大変だからね」
だとさ、マイナン。
「だってあれはアイツが……」
マイナン!
「……はーい、気をつけマース」
ったく、やんちゃなのもほどほどにしてくれ
じゃあ悪いけどハヤテ、レンジャーベースまでコイツらも頼むな
「了解した。その前に、レンジャーの証である「認定書」をきみに授けよう」
認定書? なに、いきなり認定して良いのか?
「本来なら正式な認定テストを受けて貰い、その合格の証として渡す物なのだが……テストどころか現場での実際のトラブルにきみは見事な答えを出した。レンジャーとして認定しない理由なんて何処にもないよ」
そのトラブル自体がある意味捏造っぽいけど……まあいいか。
「この「認定書」に書かれていることをよく読んでここにサインをして欲しい」
サインね……ええっとなになに……
私はポケモンレンジャーとして誇りと勇気を胸に困っている人を助け、自然を守り続けることをここに誓います
ふむ……認定書ってよりは誓約書みたいだな
「レンジャーとしては誇りと勇気を、トレーナーとしてはご褒美と調教を、とか?」
……このまま置いてかれたいのか? マイナン……
「冗談よ冗談……もう、ご主人様のいけずぅ!」
調子の良い……
「アハハ……と、ともかくおめでとう、タカマル! これできみは正真正銘のポケモンレンジャーというわけだ」
こんなんで本当に良いんだか……ハヤテも今更不安になってきたようだな
「……とはいえまだまだ右も左も判らない見習いレンジャーに過ぎない。とにかく経験を積むことだ。休んでる暇はないぞ」
だけど俺はあくまで、本当のレンジャーになるわけじゃないんだからな?
目的は別にあるって事を忘れないでくれよ?
「ああ、そうだったな。アハハハ、いやすっかり忘れてたよ」
おいおい……大丈夫なのかなぁこの先……
「まずはリングタウン目指して大空をひとっ飛びだ! さあ、こっちへ……待たせたなオニドリル! いつものように頼むぞ!」
オニドリルで「空を飛ぶ」のか。計四人いけるか?
とりあえずプラマイ二人はボールに……って、そういやお前らポケモンボールはどうした?
「解除してきた。何かあるとヤバイから」
解除だと?
「うん。アズサさんに言ったらとりあえず解除しましょうかって。だから今は野生と同じだよ」
プラスル、それ本当か?
「ご主人様に言えば判ってくれるわよって、アズサさんが」
あいつは……俺の合意無しに勝手なことを……ってちょっと待て。つまりお前らが勝手に付いてきたのは……
「うん、みんな知ってる。ご主人様のことよろしくねーって」
「主に夜の方は私が責任持つから」
……主人思いの奴隷達だこと。
しょうがねえなぁホント……そうか、野生と同じか
「野生と同じか……それならば、もしかしたら二人ともうまく行けるかもしれないなぁ」
ん? うまくいくって、どういう意味だハヤテ?
「詳しいことはレンジャーベースで。オニドリルなら四人でも大丈夫だろう。気合いで飛べるな!」
オニドリル頷いてるけど、ちょっと苦笑いって感じだぞ……悪いな。
ともかく、俺達はこうしてリングタウンのレンジャーベースへ飛び立った。
フィオナ地方に着いてからいきなりトラブルばかりだが、この先も……そうなんだろうなぁ
悪い予感しかしないが、当たって欲しくはないもんだ……
「でも絶対、「良い思い」もするんだろうね、ご主人様だから」
「そりゃそうでしょ、ご主人様だもん」
ここから振り落とすぞ、プラマイコンビ……

XDに1年半も掛けてしまったorz

※中の人の日記です。
妄想日記のストーリーとは何の関係もありませんので、ストーリーだけを楽しみたい方はスルーしてください。

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Appendix

ブログの説明

S-BOW

Author:S-BOW

このブログは、管理人がポケモンをプレイしながら脳内でポケモンを擬人化し、更にエロ妄想を繰り広げた半プレイ日記です。
基本的に脳内妄想をあるがまま文章化しているため、読みづらい点が多々あることをご了承ください。
また始めて読まれる方は、下記カテゴリーの「はじめに」をクリックして注意事項を一読くださると幸いです。
またエロい妄想はしていますが、ストーリーをなぞった形になっているので、エロシーンは一部を除きかなり薄めであることもご了承ください。
※18禁ブログです。18歳未満の方は閲覧しないようお願いいたします

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